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バッハのトッカータ
2007年6月14日最近バッハのクラヴィーア曲を聞きこんでるので、曲集ごとに少しずつ覚え書きを書いてみようと思う。
ピアノ好きの私の趣味では、現代ピアノで弾くバッハがやはり格別で、ピアニストの演奏スタイルに幅があって聴き比べが面白い。チェンバロ(ハープシコード)演奏はまだまだ持っているCDも少ないが併記していく。
「トッカータ」全7曲 BWV910〜917
バッハのクラヴィーア曲の様式は組曲がほとんどであるなか、この「トッカータ」は20歳代の若きバッハが技巧を前に押し出した作品で、緩−急−緩−急の構成が多く、ロマン派のピアノソナタが全楽章つながったような感じに似て、聴き応えがある。このためか、バッハ弾きで知られるヴァルヒャ、レオンハルトといった大家、あるいはシフなど全集を手がけた演奏家も録音しておらず、全7曲を録音している演奏家は下記の5人くらいで非常に寂しい限り。
(1)グールド(CBS。1965〜79年)
最初の全曲盤。例によってノンレガートによる独自の奏法、さらに楽譜通りではない箇所もいくつか見られる。この曲集にふさわしい名技性にあふれスリリングな箇所が多い。ただグールド盤の特徴はアダージョ部分をじっくり内省的に弾くところで、人によっては「遅すぎる」と思うかもしれない。
(2)リュプザム(ナクソス。1994年)
堅実で若々しい演奏であるが、テンポは中庸で理性的な印象。録音もこじんまりしていて今ひとつ。
(3)廻由美子(ナミ。1996年)
ホールの響きもよくスピーディでスリリングな盛りあがりはグールド以上。現代ピアノの性能をフルに生かした感じで、様式感もしっかりしていて、トッカータ演奏を極めた逸品と言うべき名演。
(4)ヴァンデルフト(ブリリアント。1999年)
155枚BOXの一枚。チェンバロによる全曲演奏。中庸のテンポで技巧的にもしっかりしているが、録音の問題として響きがよすぎるのか音がこもりがちなのが残念。
(5)曽根麻矢子(ワーナー。2001年)
ロスの直弟子である彼女のトッカータはチェンバロの素晴らしい響きを堪能できる演奏で、とにかくアダージョ部分のテンポも速いのが特徴(グールドと全く反対)でその点で好悪分かれそうですが、チェンバロ演奏では一番のおすすめ。
(6)ヒューイット(ハイペリオン。2002年)
堅実で非常にセンスのよいバッハ弾きで知られるが、このトッカータ録音に関しては彼女がノリにのって技巧的な面をみせる珍しい演奏。構築感が強くしっかりしていて万人向け。
全曲盤でない演奏で聴いたものは以下の通り。
*Eフィッシャー(ニ長調。EMI)…平均律と同じくロマンティックな面もあるバッハで、技巧的にも聴き応えがある。
*シュナーベル(2曲。EMI)…堅固な様式感によるドイツ風のトッカータ。モノラル録音が惜しい。
*ハスキル(ホ短調)…最後のトッカータはノリがよくすばらしい演奏。
*カサドシュ(ホ短調。CBS)…こちらもドイツ的な堅固な様式で、説得力のあるバッハ演奏。
*アルゲリッチ(ハ短調。DG)…スリリングで彼女らしい新しいバッハ像。独奏では彼女唯一のバッハ。
*リヒテル(ニ短調、ト長調。フィリップス)…晩年のライブ録音で一部アラも見られ、テンポも普通でスリリングさはないが、重厚なタッチが聞き物。
ピアノ好きの私の趣味では、現代ピアノで弾くバッハがやはり格別で、ピアニストの演奏スタイルに幅があって聴き比べが面白い。チェンバロ(ハープシコード)演奏はまだまだ持っているCDも少ないが併記していく。
「トッカータ」全7曲 BWV910〜917
バッハのクラヴィーア曲の様式は組曲がほとんどであるなか、この「トッカータ」は20歳代の若きバッハが技巧を前に押し出した作品で、緩−急−緩−急の構成が多く、ロマン派のピアノソナタが全楽章つながったような感じに似て、聴き応えがある。このためか、バッハ弾きで知られるヴァルヒャ、レオンハルトといった大家、あるいはシフなど全集を手がけた演奏家も録音しておらず、全7曲を録音している演奏家は下記の5人くらいで非常に寂しい限り。
(1)グールド(CBS。1965〜79年)
最初の全曲盤。例によってノンレガートによる独自の奏法、さらに楽譜通りではない箇所もいくつか見られる。この曲集にふさわしい名技性にあふれスリリングな箇所が多い。ただグールド盤の特徴はアダージョ部分をじっくり内省的に弾くところで、人によっては「遅すぎる」と思うかもしれない。
(2)リュプザム(ナクソス。1994年)
堅実で若々しい演奏であるが、テンポは中庸で理性的な印象。録音もこじんまりしていて今ひとつ。
(3)廻由美子(ナミ。1996年)
ホールの響きもよくスピーディでスリリングな盛りあがりはグールド以上。現代ピアノの性能をフルに生かした感じで、様式感もしっかりしていて、トッカータ演奏を極めた逸品と言うべき名演。
(4)ヴァンデルフト(ブリリアント。1999年)
155枚BOXの一枚。チェンバロによる全曲演奏。中庸のテンポで技巧的にもしっかりしているが、録音の問題として響きがよすぎるのか音がこもりがちなのが残念。
(5)曽根麻矢子(ワーナー。2001年)
ロスの直弟子である彼女のトッカータはチェンバロの素晴らしい響きを堪能できる演奏で、とにかくアダージョ部分のテンポも速いのが特徴(グールドと全く反対)でその点で好悪分かれそうですが、チェンバロ演奏では一番のおすすめ。
(6)ヒューイット(ハイペリオン。2002年)
堅実で非常にセンスのよいバッハ弾きで知られるが、このトッカータ録音に関しては彼女がノリにのって技巧的な面をみせる珍しい演奏。構築感が強くしっかりしていて万人向け。
全曲盤でない演奏で聴いたものは以下の通り。
*Eフィッシャー(ニ長調。EMI)…平均律と同じくロマンティックな面もあるバッハで、技巧的にも聴き応えがある。
*シュナーベル(2曲。EMI)…堅固な様式感によるドイツ風のトッカータ。モノラル録音が惜しい。
*ハスキル(ホ短調)…最後のトッカータはノリがよくすばらしい演奏。
*カサドシュ(ホ短調。CBS)…こちらもドイツ的な堅固な様式で、説得力のあるバッハ演奏。
*アルゲリッチ(ハ短調。DG)…スリリングで彼女らしい新しいバッハ像。独奏では彼女唯一のバッハ。
*リヒテル(ニ短調、ト長調。フィリップス)…晩年のライブ録音で一部アラも見られ、テンポも普通でスリリングさはないが、重厚なタッチが聞き物。
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