リスト「ピアノソナタ」ロ短調
リストのピアノ作品は膨大で、全集といってもLP時代にクリダが録音したものくらい(IPG。CDの再発をずーっと待ってます)で、また作品集を取り上げるとすればシフラ、ブレンデル、ボレット、ベルマン、アラウあたりがあるけど収録曲がまちまちで比較にならない。ということで、私の好きな「ピアノソナタ」ロ短調の聴き比べをメモしておきます。

(1)コルトー(1929年。EMI)
録音はこの年代にしては鮮明で、彼らしいファンタジーに富むリストで一聴の価値があります。
(2)ホロヴィッツ(1932年。EMI)
録音はこもっていて良くないですが、驚嘆すべきピアニズムで一気呵成に弾ききってます。
(3)アニー・フィッシャー(1953年。フンガロトン)
ややアラがあるが、彼女らしい情熱とロマンティシズムに満ちたリスト。
(4)リヒテル(1960年。フィリップス)
これも録音はあまり良くないですが、強い打鍵によるリスト。ただしリヒテルならもっと凄くてもよいのにと思うのは欲深い?
(5)シフラ(1962年。EMI)
リスト弾きで知られるシフラで、技巧は申し分ないけど彼には不向きな曲のようで個性に乏しい感じ。
(6)ギレリス(1964年。RCA)
もっともオーソドックスかつ劇的で、「鋼鉄のピアニスト」の本領発揮、リストのピアニズムを十分堪能でき、おすすめです。
(7)ルービンシュタイン(1965年。RCA)
やや明るめの健康的なリスト。ppのロマンティックさはショパン風でもある。それにしてもテクニックは冴えてます。
(8)アラウ(1970年。フィリップス)
これも素晴らしい演奏。遅からず速からずオーソドックスで、それでいて劇的な効果を生むスケールの大きな演奏でおすすめ。
(9)アルゲリッチ(1971年。DG)
ホロヴィッツ旧盤と並ぶスピードの速さ。スリリングさは随一ですが、その分スケール感が弱いかも。
(10)クリダ(1974年。IPG)
テクニック抜群で響きもよい。暗さを感じさせないリストで、全集をつくった彼女ならではのオーソドックスな名演。
(11)ベルマン(1975年。メロディア)
あの「超絶技巧練習曲」の名盤のピアニストで、テクニックや響きは十分なのに、なんかスケールが弱い感も。
(12)ホロヴィッツ(1973年。RCA)
千変万化の音色、ゴージャスなフォルテッシモ、凄絶なアッチェレランドなど、もっともユニークかつスケール壮大な演奏。一度はまれば病みつきになって他のが聴けなくなります。悪魔と天使が混在した超名演。
(13)ブレンデル(1981年。フィリップス)
ややクールで学究肌の色合いのリスト。スケール感は大きくないが、テクニックは惚れ惚れするほど。
(14)ボレット(1982年。デッカ)
きらめくピアニズムにゴージャスな響き。ロマンティックさを追求したリストでスケールも大きい。
(15)アラウ(1985年。フィリップス)
旧盤よりもスケールが大きく、オーソドックスさも申し分なく、おおらかな印象。
(16)リヒテル(1988年。フィリップス)
ライブで多少アラもあるが、彼らしい強い打鍵や独特のピアニズムが印象的。
(17)ポリーニ(1989年。DG)
技巧、響きとも申し分なく、完成度の高い健全なリスト。ただ燃えるようなロマンティックさがもっと欲しいような。
(18)ツィマーマン(1990年。DG)
ポリーニ盤と同様高い完成度を誇るが、こちらのほうがオーソドックスかつロマンティック。ffの打鍵の力強さが印象的。

コメント

nophoto
まいくま
2009年2月24日23:20

はじめまして。
ホロヴィッツのロ短調ソナタで検索してまいりました。
実は、1973年のRCA盤のCDを探しているのですが、入手できません。
LPを昔聴いていて、本当に悪魔的で魅了されてしまいました。
最近、思い出してまた聴きたくなったのですが、LPはもう聴けず、CDを購入し直そうかと思いました。

CDの行方がどうなっているか、情報ご存じないでしょうか?

nophoto
2009年5月31日18:32

はじめまして。こんな素晴らしい演奏なのに入手しにくいのが不思議です。
私もLPが最初ですりきれるほど聴きました(カップリングのフォーレも良かった!)
中古CD店などでは時たま見かけますが。ヤフオクとかでも入手難しいですか?

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