ヴェデルニコフの芸術
ロシアの大ピアニスト・ヴェデルニコフ。リヒテル・ギレリスと並ぶ存在でありながら日本で名前が知られるようになったのは死後デンオンからCDがメロディア録音が発売されてからで、そのスケールの大きさと圧倒的な技巧でロシアピアニズムの懐の深さに驚かされました。バッハからストラヴィンスキーまでというレパートリーの広さもさることながら、どれをとってもすばらしい演奏なのはさすがです。
特に私にとって忘れられないベスト盤は(迷いつつ)シューベルト「さすらい人幻想曲」、シューマン「交響的練習曲」、ブラームス「パガニーニ変奏曲」という技巧的な3曲が入った1枚を選びます。独特の重々しいタッチに滑らかな指使い、録音のせいもありますが和音が軽い感じなのがこの人の特徴で(リヒテルとの相違点と勝手に考えてます)、特に「さすらい人」はケンプの若々しく健康的な演奏とは違って、スピード感と構成感のあるロシアピアニズムさながらの演奏です。 「パガニーニ変奏曲」も屈指の演奏で、鮮やかな技巧で弾ききってるベストに近い名演です。

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