クレンペラーのブルックナー
ここ半年近くクレンペラーをちょこちょこ聴いています。きっかけはブルックナー「交響曲5番」(ウィーンフィルライブ盤(SEVEN SEAS。1968年6月2日。最近出たBOXにも収録)です。
ブルックナーは大好き(全集だけで10種近くあります)、とくに大好きな5番は私にとってピタっとくる名演がないような気がして次から次に聴いてるんですが、なかでもこのクレンペラー盤は期待通りのとてつもないエネルギーをもった演奏でした。
ブルックナーでテンポをゆらすのは某評論家U氏にとっては許されないことだそうですけど、私はそうは思いません。むしろ次から次に変わる表情を的確なテンポで意志をもってつないでいかないとこの大曲の真価は表せないと思いますし、極端なアッチェレランドかけまくりの凄絶なフルトヴェングラー盤や、変幻自在のテンポが魅力のシューリヒト盤に、このクレンペラー盤は肉薄するものを感じます。
1楽章冒頭でウィーンフィルがとまどうほどのスローテンポ、それが高揚していくさまはブルックナーの構築感を見事についてましし、4楽章も展開部で止まりそうなほどの極端なリタルランドをかけつつ、じわじわと湧き起こる楽想がしだいに熱をおびラストのファンファーレを迎えるパッションはまさに圧巻です。ライブゆえの乱れがあったり、録音バランスでティンパニのロールがやたら大きめな点はありますが、今後病みつきになりそうな気配が十分あります。

クレンペラーのEMIへの膨大な録音(フィルハーモニア管・ニューフィルハーモニア管)は、私が若いころに聴いた時はゆったりとしたテンポで無難な演奏という印象しかなかったのですが、今改めて聴くと、彼の風格や細かな表情づけ、堅固でゆるぎない構築感、しあがりの美しい清澄なオケの響きなど、驚くことばかりです。改めて偉大さを感じたのは、ハイドン・ベートーヴェン・メンデルスゾーン・ブラームスあたりの交響曲、モーツァルト、ワーグナー、Rシュトラウスなどの管弦楽曲集(ヴァイルの三文オペラなど珍しい作品も)などでしょうか。

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